進学塾ena有料模試「合格判定模試」の最新事情を解説(25年度版)|enaオープンとの差異はどこか

今回はena主催の有料模試「合格判定模試」について解説します。
- 無料模試のenaオープンではなかった小門別の成績が掲載されたことで、次に向けての対策につなげやすくなった。ただし、これは他塾の無料模試ではできていることなので、そのレベルに追いついたという評価。
- 肝心の合格判定は小4時点では信頼性が低いという所感(受験生の学習状態や受験数の少なさから)
enaで主催している模試の種類
enaで主催している模試には大きく、無料で受けられる模試と有料の模試があります。
無料模試と有料模試の違いはこちら↓
比較軸 | 無料の模試 | 有料の模試 |
---|---|---|
模試名称 | enaオープン | 合格判定模試 |
受験費用 | 無料 | 4290円~ |
対象学年 | 小1~ | 小4、5 |
開催時期 | 2月、3月、6月、9月、11月、1月 | 7月、12月 |
うちでは、小学3年生までは大手塾にて主催している無料の模試「enaオープン」を定期的に受験してきました。小学4年生になった今年も変わらず「enaオープン」の受験は続けていこうと考えていますが、小学4年生になり、いよいよ通塾しているenaから有料の模試の案内がきました。その名も「合格判定模試」です。
今回は、有料の模試である「合格判定模試」を取り上げます。
無償模試「enaオープン」については別の記事にて解説しています。よかったら、ご覧ください。

合格判定模試とは
合格判定模試は、ena本科生のほか他塾の生徒も受けられる有料の模試です。概要は以下になります。
- 有料(本科生 4,290円、一般生 5,280円)
- 難易度は高(enaの授業で消化した単元基礎と、授業ではあまり触れてない大手塾の模試で出題されるような発展問題が出題)
- 開催時期は7月、12月(計2回)
以降では、合格判定模試の詳細を解説していきます。
受験者数
合格判定模試の受験者数は、471名でした。
開催時期 | 受験者数 |
---|---|
25年06月度(小4) | 471名 |
この模試は小4から始まるため、今回の計測が初になります。
同時期(25年度06月)のenaオープンの受験者数が314名だったため、それと比較すると1.5倍になります。現時点では他塾の主催するものと比較はできていませんが、無料の模試におけるenaと他塾の主催模試程度の差があると思われます。(無料の模試における受験者数の差は9倍~10倍程度)
出題範囲
試験の科目は、小4は4科(算数、国語、理科、社会)になります。
出題される問題(小4時点)はこれまでのenaの授業で消化した単元の他、授業ではあまり触れてない大手塾の模試で出題されるような発展問題が出題されます。
基礎知識問題・発展的な知識問題・記述問題・思考力/適性型問題など、多岐にわたって出題されます。
私立中の4科型試験を強く意識した構成になっています。
結果レポート
合格判定模試の結果レポートは紙での発行のみとなっています。(enaオープンと同様)
次に結果レポートに記載される内容は以下となっています。
総合成績
総合成績は各科目における自身の得点、平均点、自身の偏差値と順位が記載されます。
併願パターン
1月~2月の入試日程を加味した併願校のリストが掲載されます。ただ掲載されている併願校の選出基準が何によって決めているのかは未公表です。今回の偏差値をもとに算出しているのか、事前入力した志望校から選出しているのか不明です。
志望校判定
事前に登録した志望校(最大6校)への合格可能性(%)、合格判定偏差値、志望者平均偏差値が記載されます。合格可能性(%)の計算方法は未公表です。
小門別 成績/分野別正答率レーダーチャート
設問毎の「受験者全体の正答率」と「自身答案の正誤」が記載されます。また分野別(今回は4科ともに5分野に区分)の正答率レーダーチャートが記載されます。ただ設問と分野がどう結びついているのかは不明です。
無料模試のenaオープンとの大きな違いは小門別 成績が掲載されたことです。enaオープンには、この情報が掲載がなく残念だったため、この部分は良い点です。それ以外はenaオープン同様、記載内容は結構ざっくりとしています。詳しくは後述します。
合格判定模試の良い点・悪い点
以降では、合格判定模試の良い点・悪い点について解説していきます。
良い点:すべての設問の解説が付いている
enaオープンでは模試の解答冊子には、一部の設問しか解説が載っていませんでしたが、合格判定模試では全ての設問の解説が記載されていました。
これは子ども自身で添削して、間違いと正しい解答方法を確認できる、というのが良い点です。
良い点:それぞれの分野に類題が掲載されている
さらに解答冊子に関わる話ですが、それぞれの分野の類題も掲載されています。
間違えた問題の解説を読んで解き方を納得した後に、類似の問題をそのままの流れでトライできるのは、知識の定着をしやすい流れになっていると思います。
また類題が特定の分野だけではなく全ての分野で掲載されているのも、良いことだと思いました。
悪い点:偏差値にバラツキが少なく志望校判定の信頼性がない?
enaオープン同様に、他塾の模試と比べて受験者数が少ないです。
これは「enaが首都圏にしかない」「都立中一貫校を狙っている以外の子は集まらない」ということが起因しています。
おそらく今回の受験者の多くはena本科生だったと思われます。そしてenaの小4クラスではまだレベル別のクラス分けもしていない状況で授業を進めているためか、生徒間での学力の差(偏差値の差)が少なかったようです。
そのため、志望校判定の評価結果がシックリときませんでした。
例えば、通常での合格判定偏差値が高い学校も低い学校も、志望者の平均偏差値がほぼ同じ水準で記載されています。
つまり、今回の模試では、学力水準の高い学校も低い学校も、志望している生徒が同程度の学力水準だったということです。これは現実の入試としてみても結構乖離がある状況になっていると推察しています。
要するに今回の模試では、enaに通う、現時点で学力差がさほどない生徒たちが、それぞれ志望校を選択した、ということが起こったということです。ただ実際の試験では他塾から各志望校の合格判定偏差値に近い生徒たちも試験に入ってくるため、もっと志望者の平均偏差値がもっと押し上げられることが起こると思われます。
そういう意味で、今回の模試の合格判定は信頼性が低い結果になっていると感じました。(特に私立は顕著です)
まとめ:無償enaオープンよりは有意義になっているものの他塾の無料模試と同品質
今回の合格判定模試、小4の受講料は4290円でした。
上述のとおり、無料模試のenaオープンに比べ、解説や類題が充実しており、復習教材としては良い点がありました。
またenaオープンではなかった小門別 成績が掲載されたことで、次に向けての対策につなげやすくなっていることも評価できます。ただし、これは他塾の無料模試ではできていることなので、普通のレベルになったという評価が正しいです。
一方で、試験名でもある合格判定の信頼性はまだまだ(時期尚早)と感じました。
この復習教材のためだけにこの受験料は、正直コスパが悪いと思います。
模試の内容が都立中の適性検査型の入試を意識したもので出題されるのはenaの模試としては、6年生からなので、少なくとも小4の12月度はスキップでもよいと感じています。おそらく小5も同様かと思われますが、1年後にもう1回受けてみるのはありかと思っています。
小4では他塾の有料模試を受けた方が、もう少し信頼性が高い合格判定基準が出るのではないかという感触でした。今後、比較してみようと思っています。

