進学塾enaの特徴を解説|通塾者のリアルな評判を掲載!都立中高一貫校を目指す家庭必見

今回はenaのパンフレット(2025年度版)に記載されている特徴・強みの紹介と、通塾者としての所感を解説したいと思います。
- 都立中のena。今も昔もこれがenaの差別化ポイント。ただ近年、私立中にも対応可能な塾という指導方針を追加したことにより、差別化ポイントがわかりにくくなってしまっている。
- enaでの都立中対策が本格化するのは小6から。そこからenaの独自性が表れてくる。
強み1:テキストと授業が都私立中対策に直結
塾である以上1番重要なのは、授業の内容です。enaも含め、各進学塾はいかに差別化を出すかでしのぎを削っています。
以降ではenaで実践している授業の特徴について解説していきます。
入試直結型テキスト『PERSPECTIVE』『EXE』
24年度までは全学年『PERSPECTIVE』という教材でしたが、25年度から小4・小5は『EXE』という教材に改訂されました。どちらもenaのオリジナル教材です。
『EXE』は近年enaが都立中特化型から都私立中対応塾へ指導方針を変更したことを受けて、都立・私立ともに対応できる内容に改訂されたという流れです。
教材の内容で大きく変わった点は、演習問題に私立中の過去問が掲載されるようになったことです。
enaでは小5までに小学校6年間で習う単元すべてを消化するスケジュールで進みます。これまでは小6時点で基本的には都立中受験に特化して仕上げていくカリキュラムでしたが、現在は、私立中受験も選択肢にできるように、小5までの授業では私立中受験にも対応できる範囲も学習を行うことになりました。(つまり小学校6年間で習わない範囲も学習対象となりました)
なお、小6コースでは、都立中志望か私立中志望かでコースを選ぶため、教材が改訂されなかったのだと思います。
うちの場合、都立中高一貫校の受験を中心を考えてenaに通塾したため、初めは私立中の過去問に触れるメリットが感じられませんでした。
ただ、これまで実施してきた所感としては、私立中の過去問といっても私立中特化のレベルではなく、都立中でも出題されるレベルであるため、都立中受験を考えている生徒にも無駄にはならない内容だと思います。
また、私立中の過去問と言えども、小4時点で過去問が自力で解けると子どもの自信が付くというプラスの効果もあります。
授業は「双方向」で発問を重視
enaでは、生徒たちに自ら気づきを与えることを重視し、教師が一方的に教えるのではなく「発問」を重視しています。
そのようなenaの指導方針を反映し、クラスは基本的に10名未満で構成されています。1クラスが少人数のため、教師と生徒の「発問」がなされやすい環境だと言えます。
クラスの人数は少ないので「発問」がなされやすい環境であるものの、実際に「発問」を重視した授業の進め方がされるかは教師によります。
enaの授業は基本的にはアルバイト教師が実施することが多く、校舎に1~2名在籍しているプロ教師が実施することは稀です。うちが通う校舎だと小4で週4~5枠の授業がありますが、プロ講師はそのうち1回程度です。
アルバイトと言えど「発問」重視で授業を進めるよう事前に指導を受けていると想像しますが、ずっと単方向でしゃべり続ける方も事実いらっしゃいます。
プロ講師は説明上手な方が多いです。
授業のクオリティについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

学力判定テストを毎月実施
毎月1回「学力判定テスト」(通称「学判」)があります。
学判の日は授業は行われず、4科(算数・国語・理科・社会)のテストと答え合わせを実施します。
得点によるクラス替え・席替え等はありませんが、毎回の成績優秀者は校舎内の掲示板に発表されます。
自身の学習理解度や偏差値を定期チェックしておくことは大事なので良い取り組みだと思います。
ただena在校生しか受けれないテストであるため、順位や偏差値はあくまでも閉じられた環境内でのものと理解し、別途模試を受験し正しい位置を把握しておく必要があります。
成績優秀者として掲示されると、子ども自身のモチベーションアップにつながるのは良い点です。
強み2:日々の積み重ねが都私立中対策に直結
中学受験を成功させるためには自宅学習が必須です。
以降ではenaで実践している自宅学習カリキュラムの特徴について解説していきます。
論理的思考力・記述力を育む「復習ノート」
中学入試では論理的な思考とわかりやすく相手に伝える表現力が求められます。
それらの力を養うためのツールとして「復習ノート」があります。「復習ノート」で問題の解き方を筋道だてて言語化する力を強化します。
この「復習ノート」は小5以上の授業から宿題に加わります。ノートは毎回の授業で回収し、内容の点検とフィードバックが行われます。
うちは現在小4なのでまだ「復習ノート」は始まってませんが、事前練習の位置づけで、学判や演習で間違えた設問(および誤答案・解答)をノートに記述して提出することをやっています。
そのノートも毎回の授業で提出していますが、記述に対するフィードバックが「良く書けてます」「もうちょっと丁寧に書きましょう」といった表層的なモノが多いです。
小5の「復習ノート」が始まったら、もう少し突っ込んだフィードバックをもらえることを期待しています。
計算力・思考力・試行力を養う「日々の学習」
自宅学習用のテキスト「日々の学習」(通称「日々学」と呼ばれる)があります。
宿題とは別に「日々学」を毎日1ページを目標に取り組みます。すべて消化したら教師に提出し、翌月分のテキストが配布されるという流れです。
テキストの内容は、単なる計算ドリルではなく、パズル的な思考力を養う問題や図形問題など、多様な問題が収録されており、計算力だけでなく思考力・試行力の向上が期待できます。
中学受験を成功させるためには、塾の授業だけでは足りず、自宅での学習習慣が必須です。低学年から「日々学」を始めることで、学習習慣を作ることができます。
またご家庭で計算ドリルを探して購入するよりも、まずはこれをこなすことに専念すればベース学力はつくと思います。
テキストに記載されている設問のレベルは高くなく、且つ類似問題が続くため「これだけで大丈夫かしら」と不安になる時期もありますが、信じて続けることが大事です。
なお、この「日々学」は算数だけなので、国語・理科・社会は、別途、自宅での学習教材を準備した方が良いと思います。
徹底した「書き直し」で表現力アップ
都立中入試ではわかりやすく自分の考えを表現することが重視されます。考え方が合っていても採点者に伝わらなければ減点の対象になります。
小5、小6での作文の授業では、必ず教師による添削をし不十分な答案は「書き直し」が指示されます。これを繰り返すことで表現力を向上させます。
うちは現在小4なのでまだ作文の授業は始まっていないため「書き直し」も未経験です。
小4国語の授業では作文力の向上を狙いとした長文記述問題も少しずつ増えてきています。(例:文中のAとBの違いについて90字以上100字以内で説明しなさい)
ただ小4国語ではこれら長文記述問題の教師による添削はなく、基本的には自身で解答と答案の正誤を確認し、正誤のズレがある場合は自宅学習で補正しています。(授業外に教師に質問することで添削・フィードバックはしてくれます)
強み3:最強の模試と過去問題集
高学年になるにつれて中学入試本番に向けた準備は、基礎学習から特化学習に切り替わっていきます。
以降ではenaで実践している志望校に対して現在の自分の位置を知るための模試と、志望校合格に近づくための特化学習(過去問)について解説します。
enaオリジナルの模試は都内屈指のクオリティ
enaには、enaが主催している模試があります。
模試は有料版と無料版が存在し、無料版の模試は小1から開催されています。一方、有料版の模試は小4から開始されます。
enaの模試の問題は都立中受験を知り尽くしたenaの教材制作部、教科主任、実績対策責任者が担当しています。
うちは現在小4なので、無料版の模試(enaオープン)しか受けたことがありません。有料版の模試(小4合格判定模試)は、7月と12月に実施されます。
無料版の模試(enaオープン)は、残念ながら都内屈指のクオリティとは言えない状況です。もっと良い他塾の無料版の模試が存在します。
enaオープンについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

有料版の模試が、無料版の模試とどのように異なるのか、クオリティに差があるのかは、今後レポートしていきます。
「金本」は受験生のマストアイテム
都立中過去問題集『金本』、enaが総力をあげて執筆している問題集です。
他塾の教材よりも優れているのは、どこの過去問題集よりも詳しく記載された解説とのことです。
校舎では『金本』をやらせっ放しにすることなく、解く日程や解き直しノートの点検も含めて管理をします。
この『金本』、通塾者でも小6にならないと購入できない代物です。
表向きは小6になるまでは難しすぎるから手を出さなくてよい、ということですが、小6にならないと購入できないプレミアム感を演出しているところを見ると、enaの収益の源泉とも言えそうです。
それはenaの差別化の最終兵器であることを示していると言えます。
都立中のenaだからこその内容になっていると期待はしていますが、その実力は追ってレポートしたいと思います。
強み4:至高の特別講座
通常授業と自宅学習だけではライバルに差をつけることはできません。受験を控えた小6を中心として高学年向けの特別講座が用意されています。
以降ではenaの特別講座について解説します。
「日曜特訓」で得点力を養成
enaの合格実績躍進を支える「日曜特訓」
都立中入試頻出の問題を毎週解き、解説授業を受け復習ノートを作るサイクルを重ねることで、合格に必要な得点力を養います。授業を受け持つ教師は中学入試を知り尽くした実績対策責任者が中心です。
enaの合格実績者数 水増し問題(※)の背景にある「日曜特訓」、本格版は小6ですが、小5から講座は用意されています。
うちは現在小4なので、まだ受けたことはありませんが、enaの合格実績数を支えると言われる特別講座なので、小6では受講必須かと考えてます。
日曜特訓について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

※なお、水増し問題について詳しく知りたい方はこちらの記事を参照ください。

飛躍のチャンスを「合宿」でつかむ
ゲーム、スマホ、テレビもなく、家族や友人たちから切り離された非日常のなかで、ひたすら勉強に専念できる合宿。
enaは専用の合宿場を保有しており、GW合宿、夏期合宿、正月合宿に加え、作文合宿や私立中対策合宿などの週末合宿も実施しています。
合宿参加は基本的に任意です。(小6夏期だけは合宿参加が基本となります)
合宿は飛躍のチャンスであることは間違いありません。
ネックは、期間が長い(小6夏期合宿は標準で10泊11日)ことと、費用が高いこと。
1度は参加させたいものの、タイミングは見極め必要です。
合宿について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

まとめ:都立中のena、併願で私立中も狙えるようになってきている塾
うちでは小3からenaに通い、現在(小4)に至るわけですが、その間、enaでの指導方針変更がありました。
いまenaは私立中対応塾にもなるために、色々と変更(アップデート)を進めてようとしていますが、現場に一番近いところにいる通塾生から見ると、正直過渡期と言わざるを得ない状況です。
一方で、都立中のena。というブランドは、確立されているとも思います。だからこそ、都立中を本命で、私立中は併願でも受けたいという受験生のための塾。とわかりやすくアピールしても良いんじゃないかと思います。
変に都立中と私立中を並列で並べなくてもよい気がしています。私立中本命とする場合は、他塾の方が優勢な印象もある。ましてや難関私立中を志望するなら、他塾と言わざるを得ない。
そのenaのブランドである都立中対策は小6から本格化します。それはそれでとてもハードなカリキュラムになります。したがい、都立中対策しながら、私立中対策を両立するのは、塾も生徒も難しいのではないかと思います。
したがい、中学受験を考えるご家庭は、一挙両得を狙うのではなく、優先順位をしっかりと決めておくことが中学受験成功の近道な気がします。


