進学塾ena、都立中特化型から都私立中対応型へ方針変更|従来から変わった点まとめ

進学塾enaは24年度から都立中特化塾から都私立中対応塾として方針変更しています。それによって現時点において、従来から変わった点をまとめます。
都立のenaが方針変更に至る背景
enaは言わずと知れた都立中高一貫校(適性検査型試験)の対策塾の代表格です。
他塾の多くは私立中高一貫校、名門私立大学付属中高の対策をメインターゲットとしているなか、enaは、この差別化によって知名度と合格実績をあげてきました。
(合格実績については批判的な意見も出ていますが、詳しく知りたい方は別記事をご覧ください)

その都立のenaが、24年度から都立だけでなく私立中もターゲットにすると方針変更を表明しています。
その主たる理由は、enaに通う家庭から私立中対策もやってほしいという意見が多数あったから、とのことです。(都立のenaでの対策だと出口が基本的に都立中1本となるため、その出口の選択肢を広げてほしいという家庭が一定数あった)
その要望を受けて、都立のenaだからこそできる私立対策を従来の指導方針に加える形で、都立のenaから、都私立のenaへ変貌することを打ち出しています。
変わった点1:教材
2024年度から一部学年のメイン教材が変更となりました。
従来は『PERSPECTIVE』という教材でしたが『EXE』という教材に変更となりました。どちらもenaのオリジナル教材ですが、近年enaが都立中特化型から都私立中対応塾として方針変更したことを受けて、テキストも都私立ともに対応できる形式に変更となっています。
具体的には私立中の4科目受験に必要な各単元の基礎を従来教材より広く学習できるようにしているようです(説明会で講師の方が言っていました)
小4のメイン教材は2024年度から変更になっていますが、構成にはさほど違いは見られません、旧教材『PERSPECTIVE』では「練習問題(基本問題)」と「発展問題(応用問題)」の2部構成であったものが新教材『EXE』では「基本反復問題」と「過去問演習」と名前は変わりましたが同じ2部構成となっており大きな変化は見られません。
ただ「過去問演習」は私立中も含めた過去問が掲載されており、このあたりが私立中を意識した形になっています。
もう1つの構成上の変化は旧教材『PERSPECTIVE』では4科別々の教材(上期・下期の計8冊)となっていましたが新教材『EXE』では4科が1冊にまとめられて各月ごとの配布となりました。1冊にまとめた狙いは宿題に取り組みやすいシンプルな設計とのことです。我が家での宿題管理は親子一緒にやっているため、この構成見直しの効果がイマイチ実感できてません。どちらかというと先々の単元の内容を確認することができなくなった分、使い勝手が悪くなった印象があります。
変わった点2:ena主催模試
enaには、enaが主催している模試があります。誰でも受けれる無料の模試です。
- 無料(enaに通塾していない生徒も参加可能)
- 難易度は中程度(基本的にはenaの授業でやっている基礎から発展問題までが範囲、つまり都立中学での出題範囲)
- 開催時期は2月、3月、6月、9月、11月、1月
その模試も、今回の方針変更を受けていくつかの点が変わりました。
項目 | enaオープン | 都私立判定模試 | 適正検査模試 |
---|---|---|---|
開催していた時期 | 25年2月〜 | 24年9月~25年1月 | 〜24年6月 |
試験内容 | 4科型 | 4科型 | 適性検査型 |
試験者数 | 約300-400名 | 同左 | 同左 |
結果レポート | [様式]紙 [内容]総合成績、志望校判定、あなたの特性 | 同左 | [様式]紙、オンラインツール [内容]総合成績、志望校判定、科目別各問成績一覧 |
以降では、それぞれの項目について補足解説します。
模試の名称変更
このena主催の模試ですが、2024年から2025年にかけて2度の名称変更がされています。
従来は「適正検査模試」という名称でした。そして2024年9月から「都私立中判定模試」と名称変更されました。そして2025年2月から「enaオープン」という名称に変更されます。
試験区分の変更
従来の「適正検査模試」は都立中の適性検査を模して検査Ⅰ、Ⅱとなっていましたが、「都私立中判定模試」「enaオープン」では算数、国語、理科、社会の4科区分となり、私立中の試験形式に寄せた格好となっています。
出題される問題は、基本的にはenaの授業でやっている範囲になっています。小4の時点では小学校で学習する範囲(つまり都立中受験での出題範囲)です。
enaでは、今後私立中対策もしていく方針になっているため小学校で学習する範囲を超えて私立中受験での出題範囲に対応されていくものと思われます。
模試結果レポート様式の変更
一般的には模試の結果には偏差値や受験生の中での正答率などが記載されます。これらの項目は細かければ細かいほど、現在の自分の状況がわかりやすくなります。
enaの模試でも模試結果レポートがありますが、このレポート様式(記載項目)が変更になっています。結果、記載項目が少なく(薄く)なってしまい、自分の状況がわかりにくくなってしまったという状況にあります。

変わった点3:オンラインサービス
enaでは「オンライン授業」や「模試等イベントのお知らせと申し込み」等ができるオンラインサービスを提供しています。
従来の「適正検査模試」では模試の結果レポートがオンラインサービスを通じて閲覧することができましたが「都私立中判定模試」「enaオープン」では紙での配布だけになりました。
Webサイトでの閲覧と紙配布では利用シーンが異なるので、両方のレポートが見れる方が利便性が高かったのですが、紙だけとなったことで利便性が落ちてしまったと感じます。

まとめ:現在は方針変更に伴う過渡期!?
上述のとおりenaでは2024年度から都私立中対応塾への方針変更に伴い、様々な部分が変更になっています。しかも、どちらかというと従来より使い勝手が悪くなっている状態になってしまっています。
おそらく方針変更に伴う現場の仕組み(教材やそれと使った指導内容、模試の構成、それぞれの変更に合わせたオンラインサービス)の改修が間に合っていないのでしょう。
enaは方針変更の背景にこれまでena通塾している家庭から都立中だけでなく私立中も受けられるような指導をしてほしいという声が多かったとも説明していますが、うちのような都立中を軸に中学受験を考えているena通塾者からすると、この方針変更に伴う品質低下は残念でなりません。
過渡期による問題なので時間が解決するとは思うものの、1日も早く受験生にとって学習効率の良い環境に落ち着いていってほしいと願っています。
