進学塾enaの秋期合宿を解説(25年度版)|今年は記述力強化合宿と自然体験合宿の2コース

今回はenaの秋期合宿の内容の解説と、これらの合宿の参加価値について考察したいと思います。
- 隔離された環境で勉強に集中できるというアピールポイントで、自社合宿場をフル活用しているena。
- 合宿での学習効果より、費用の割高感が強く、積極参加する価値は低い。
秋期に合宿を開催している塾はenaのみ!?
そもそも合宿が活況になる夏期シーズンでも合宿を開催している塾というのは、そう多くはありません。
今年の夏期合宿で驚異の22泊コースが話題となった進学塾enaですが、そんな離れ業ができるのも自社所有の合宿場があるからです。

進学塾enaは、この合宿場をオールシーズン、フル活用しています。
夏休講習、夏期合宿が終わってまもない秋期(9月)にも合宿を開催します。
私が調べる限り、合宿場を所有している塾はenaの他にはないため、秋期合宿を開催している塾はena以外にはないと思われます。
enaが開催する秋期合宿は以下の2つです。
- 記述力強化合宿(第3回)
- 秋期自然体験合宿
以降では、これら2つの秋期合宿の内容を解説します。
記述力強化合宿(第3回)
その名のとおり、記述力を強化する合宿です。
今年度、3回目の開催になります。今回の合宿のテーマは「文章を読んでから書く」です。
- 文章読解と記述問題の解法を学ぶ
- 9/6(土)-9/7(日)の1泊2日
- 会場は富士山合宿場
- 受講料は、36,300円(税込み)
以降では記述力強化合宿の内容詳細を解説します。
合宿スケジュール
まず合宿のスケジュールです。一泊二日で富士山合宿場まで行く弾丸スケジュールです。
ご覧のとおり、時間の内訳は、移動、食事、授業で構成され、遊び(自由時間)は一切ない形になっています。「ネットもゲームもない環境で勉強に集中する」というサブテーマが伺える内容になっています。
時刻 | 1日目 | 2日目 |
---|---|---|
07:00~ | ー | 起床・朝食 |
09:00~ | 集合・出発・移動 | 授業 |
12:00~ | 到着・昼食 | 昼食 |
13:00~ | 授業 | 授業・出発準備 |
14:00~ | 出発・移動 | |
17:00~ | 夕食 | 到着・解散 |
18:00~ | 授業 | |
20:00~ | 復習タイム・入浴 | |
22:00 | 消灯 |
授業内容
現時点でわかっていることは、「文章を読んでから書く」をテーマに以下を軸に学習します。
- 文章を読み、筆者の主張を読み取る方法
- さらに読み取った内容をもとに自分の意見を述べる方法(意見の根拠となる体験も書く等)
なお、合宿期間中の授業時間での学習段取りは公開されていません。
秋期自然体験合宿
その名のとおり、記述力を強化する合宿です。
今年度、2回目の開催になります。今回の合宿のテーマは「“火”の不思議を学ぶ」です。
- 自然の不思議を学ぶ
- 9/13(土)-9/15(月祝)の2泊3日
- 会場は富士山合宿場
- 受講料は、66,550円(税込み)
以降では秋期自然体験合宿の内容詳細を解説します。
合宿スケジュール
まず合宿のスケジュールです。二泊三日で富士山合宿場まで行くスケジュールです。
ご覧のとおり、自然での体験授業を中心に行い、その体験した内容を壁新聞にまとめ、最終日に発表を行うという構成となっています。
期間中は、いわゆる4科(算数・国語・理科・社会)の学習はありません。
時刻 | 1日目 | 2日目 | 3日目 |
---|---|---|---|
07:00~ | ー | 起床・散歩・朝食 | 起床・散歩・朝食 |
09:00~ | 集合・出発・移動 | サツマイモ堀 | 壁新聞づくり 壁新聞発表会 |
12:00~ | 到着・昼食 | 昼食 | 昼食 |
13:00~ | フィールドワーク 焼きマシュマロ みつろうキャンドルづくり | 座学 理科実験:炎色反応 作文 | 出発・移動 |
17:00~ | 夕食 | 夕食 | 到着・解散 |
18:00~ | キャンプファイヤー | 座学 星座観察 | |
20:00~ | 入浴・壁新聞づくり・絵日記 | 入浴・壁新聞づくり・絵日記 | |
22:00 | 消灯 | 消灯 |
授業内容
「各プログラムを通じて”火”の不思議を学ぶ」をテーマに以下を学習します。
- マシュマロ焼き
マシュマロを焼くと、味の変化とともに外側と内側でどのような違いがあるのかを確認する - みつろうキャンドルづくり
みつろうを知る(ミツバチが巣を作るときに腹部から分泌する蝋) - キャンプファイヤー
どんな素材が燃えやすいのか、燃え方を確認する - さつまいも堀
さつまいもは植物のどの部分が大きくなったものかを確認する - 炎色反応実験
炎色反応を知る(炎の中に物質を入れると炎の色が変わる)
まとめ:秋期合宿の参加価値に関する考察
ここまで見てきた秋期合宿ですが、今回は参加価値は低いと結論づけています。
以降ではその理由を解説します。
理由1:コスパが悪い
まず第一にコスパが悪いということが挙げられます。
記述力強化合宿は、合計9時間の学習時間に対し、費用は1ヶ月の授業料を超える金額。
富士山までの移動費と宿泊費が含まれているとはいえ、詰め込みの9時間での学習効率と合わせて考えると割高な印象です。
さらに付け加えると授業の内容としては通いでもできるはずなのに、わざわざ富士山で学習を行う効果がわからないと言わざるを得ません。むしろ、富士山までの移動・宿泊をなくし、その分、金額を抑えたほうが参加者が増える気がしてなりません。
一方、自然体験合宿は、合計13時間の学習時間に対し、費用は約2ヶ月分の授業料の金額。
夏期に行われた自然体験合宿より短期間になっている分、前回よりは費用が抑えられていますが、決して安いとは言えない金額設定です。
自然のある環境でしかできない体験もあるので、そこに価値を見出せる場合は、参加意義があるかもしれません。

理由2:学習効果が不透明
第二に学習効果が不透明である点が挙げられます。
記述力強化合宿は、学習内容自体は悪くないと思いますが、当然1日の詰め込み学習では身に付かないと思うので、合宿後の繰り返し学習につながるような教え方(事後課題や継続学習の仕方等)をしてもらえると良いと思いますが、そこまでしてくれるかは現時点で未知数です。
また通常の国語授業において長文問題の添削が弱いという実態があるため、合宿でも記述の方法は教えるが、その添削が不十分になる可能性があることが不安要素です。

一方、自然体験合宿は、プログラム自体は子どもが興味わく体験学習になっていると思います。また最終日に向けて新聞という形でアウトプットすることで記憶の定着化を図っているのも良いと思います。
強いて言えば、個々のプログラム実施する前後で理科の教科書の単元に合わせた解説をしてもらったり、壁新聞のまとめ方の指導や作成物の添削等があると、とても良いと思いますが、ここまでやってくれるのかは非公表です。
理由3:通常授業を欠席しなくてはならない
第三に開催日程が悪いということが挙げられます。
今回紹介した秋期合宿ですが、いずれも9月の週末(土日・祝日)での開催になっています。
一方で、この合宿の参加対象である小4では、土曜に通常の本科授業が行われています。そのため合宿に参加するためには本科授業は欠席しないとなりません。
高い授業料払っている本科授業を欠席して、さらに高額な合宿に行くということは結果、通塾者にとっては、二重課金になります。
こういう事態を避けた日程で合宿を開催してもらえば、まだ検討の余地が出てくると思いますし、なにより集金イベントと言われる不信感を払しょくできると思うのに、そこが考慮されていないのが残念に思います。